今の新日本は、一時期よりかなり面白い。
向維 新さんも指摘されるとおりだ。
しかし、一時の落ち込みの酷さをご記憶だろう。
いつ潰れてもおかしくない、新日オワタ、
そのような論調をどこでも見ることが出来た。
戦略を誤れば、いつそうなるか分からない。
原因は3つ挙げられる。
「プロレス軽視」「イケメン重視」「キラーコンテンツ切り捨て」。
プロレス軽視。これは猪木がエースの時代まで遡れる。
プロレスが商品なのに、プロレスを売らない。
それどころか、プロレスを貶める。
異種格闘技戦、総合ルールの導入、K-1やPRIDEとの対抗戦。
それを通じてUWFなどの分派や、そのために練習するレスラー、
その路線についていけない個性ある優秀な選手たちの離脱。
私見だが、総合格闘技などナンセンスだと思う。
テニスの杉山愛選手と、卓球の福原愛選手を比較するため、
公平にバドミントンで競わせるようなものだ。
あと、拙かったのは「K-1、PRIDE」の連呼。
田中リングアナが「K-1、PRIDE、何するものぞ」と叫び、
テレビ朝日の深夜で、試合中継でも取れる時間が僅かなのに、
「プロレス人気復活のための討論番組(?)」を長時間、
2度に分けて放送し、「大人気のK-1やPRIDEに比べて、
今のプロレスがいかに人気がなく、つまらないか」を延々と語り、
肝心の新日本のレスラーも、説得力のある意見を出せなかった。
これは逆宣伝というものだ。
プロレスファンが、「あ、総合ってそんなに面白いのか、見てみよう」
と思わせるに相応しい内容だった。
総合格闘技に人気が流れる道を、新日本が金を掛けて舗装し、
看板まで出してあげたようなものだ。
イケメン重視。これは誰でも頷けるだろう。
草間社長が公然と「会場アンケートで、棚橋、中邑が人気だ。
この二人を優先して売り出し、後の選手は踏み台になってもらう。
マーケティングとしては当然のことだ」と語った。
確かに会場に女性ファンの姿が増え、他団体でもイケメン選手が
話題になり、専門誌も写真写りのいい選手を優先した。
能力よりルックスが大事、という風潮は拡大し、
映画、演劇、音楽はもちろんのこと、
これがプロレス、政治、格闘技、球技にまで及んでいる。
プロレスファンの中枢である男性たちが、面白いはずがない。
自らを投影することこそがプロレスの醍醐味の筈なのに、
「会社に選ばれたイケメンの子」など、誰が応援するか。
頼みの女性ファンは、一般に移り気である。
もっと格好いい男性タレントを敏感に見つけ、あっさり見切りをつける。
新日本のDVDマガジンで、棚橋、中邑、金本、稔、井上、
こういう人ばかり出ているようだが、売れているのだろうか。
レディゴンが可愛い女子選手を重視して載せていればいるほど、
「普通のグラビアアイドルのほうがいいや」と思われたのと同じだ。
マッチョで踊れるイケメンがいいなら、田中ロウマでも聴きに行くだろう。
たぶんSOULの面でもレスラーはかなわないと思う。
キラーコンテンツ切り捨て。これもわかりやすい。
藤波、初代タイガー、小林、コブラ、越中、高田の時代からの
新日本プロレスの主要商品を、金に目が眩んだ新日本が、
BS朝日の有料チャンネルにほぼ完全移行させ、
地上波で見られなくした。
見られるのはヘビー級の試合が少しと、売りたい選手のインタビュー、
下手をするとイタリアのサッカー選手のインタビュー。
自殺行為のオンパレードだ。
今は、永田、越中、真壁、中西?スーパージュニアの放送で、
随分と活気を取り戻したかに見える新日本。会場も沸いているようだ。
ここで会社が「中邑が復調し、棚橋が復活するまで、今は我慢の時」
と思っているなら、すぐにまた奈落は訪れるだろう。
------------------------------------------------------------
||
コメント26 ||
トラックバック 0
|| 固定リンク ||
-------------------------------------------------------------
|